誰もが「働くなら正社員」と考えられていた時代もありましたが、2018年時点で日本においてフリーランスで働く人は1,100万人以上。働く人の約5人に1人がフリーランスとして働いているともいわれています。
しかし、フリーランスには一長一短がありスキルさえあればどこまでも報酬を増やせる一方で、病気や契約不履行などのリスクが常につきまとい、労働基準法も適用されません。また、保険や年金の手続きのような煩雑な手続きも自分でやらなければいけないという煩わしさもあるようです。
フリーランスであれば、働く場所・プロジェクトや時間も自分で選択が可能。常に自分が興味のあるジャンルでものづくりができ、日々新しい知識や技術を身につけ続けることができます。
フリーランスの機械設計エンジニアは、企業に社員として属さないため、組織や企業のルール・人間関係に縛られることがありません。仕事以外のことで頭を悩ませる煩わしさがないため、存分にものづくりに没頭できます。収入も、自分のがんばり次第で増やすことが可能です。
フリーランスとして働くデメリットは、社会保障が減り、収入が不安定になりやすいこと。
自由を手にすることは、裏を返せば自分自身で全ての管理をしなくてはいけないということです。会社に属している場合は、特に大きな成果を出さなくてもある程度決まった金額の給料を手に入れることができます。フリーランスの場合は、収入もすべてが自己責任なので、保険料も全額自分で払い、労災保険や介護保険などもなくなります。
フリーランスは、全てが自己責任。もちろん、仕事とプライベートの境界、モチベーション管理や体調管理、確定申告などもすべて自分で処理しなくてはいけません。
ものづくり以外にかかる時間が増えることになるため、管理が苦手な人にはデメリットとなるでしょう。
エンジニアがフリーランスとして独立したときには、企業ではなく自分自身がクライアントを見つけて営業をし、仕事を取ってくる形になります。仕事の探し方はいくつかありますが、自分に合った方法でないと苦しい思いをするので注意しましょう。
まだ企業勤めのエンジニアだった頃は、いろんな仕事が舞い込んでくることも。前職で得た人脈やコネを利用して仕事を得るのは、フリーランスとして独立したての頃の王道です。
プライドが許さないという人もいるかもしれませんが、独立したばかりのフリーランスが仕事を得られる手段は限られるでしょう。コネでもいいので使える手段を活かして、仕事を受けましょう。
仕事を得られないと分かっている場合でも、ひとまず声をかけてみるに越したことはありません。人伝にまったく関わり合いのなかった第三者から仕事を得られるということもあります。
コネに頼ることの一番のメリットは、相手に対して実力を理解してもらえていること。紹介を受ける方との信頼関係の力も借りることができるため、依頼者との関係値づくりもスムーズです。
最近は本業としても副業としても、クラウドソーシングサイトを利用して仕事を得る人は多くいます。クラウドソーシングはネットを通じ、仕事をしたい人と仕事を依頼したい人の斡旋を行っているサービスのこと。
機械設計のエンジニア向けの依頼は多く掲載されており、対して仕事を引き受ける側のエンジニアの数が少ないので仕事を得やすいことが魅力でしょう。
クラウドソーシングは会員登録から仕事の引き受けまでがスムーズに行えますし会員登録も無料なので、気軽に試しやすい方法です。
ただしデメリットとしては、1つの依頼に対する単価が低いことや仲介手数料を取られること。手数料は特に多めに設定されていることが多いため、せっかく依頼を引き受けても思ったより報酬が少ないということもあるでしょう。とにかく実績を積みたい場合には、クラウドソーシングを利用することもおすすめです。
機械設計のエンジニアとして、自分で自ら営業活動をするのもフリーランスの仕事の得方です。自分が仕事をしたいと思った企業に直接メールなどで営業し、自分のスキルを売り込んで仕事を得ます。企業と自分の直接取引になりますから、仲介手数料を取られたり極端に低い単価を設定されたりすることはありません。
しかし、駆け出しフリーランスがいきなり営業しても、企業の信頼を得られないことがほとんど。実績となるポートフォリオを示すのが効果的ですが、実績が少ないエンジニアや自分の売り込み方に自信がないエンジニアにとって難易度の高い方法になります。
エンジニアがフリーランスで仕事を確立していくためには、次のポイントが大切です。
フリーランスとして活躍していくためには、とにかく実績を積むことが欠かせません。最初はどんな小さな仕事でも堅実にこなしていけば、クライアントとの間に信頼関係が生まれます。信頼を受ければ任せてもらえる仕事も増えるため、経済的にも安定していくでしょう。
さらにこれまでにこなしてきた実績が増えれば増えるほど、新たなクライアントに営業する際の材料となることも。提示できる実績が増えれば初対面のクライアントからも信頼を得やすくなりますし、何よりエンジニアとしてのスキルアップにつながるでしょう。
「こういう仕事でないと受けない」と職人気質でいるのはやめ、駆け出しの内はいろんな実績を積んでみてください。
実績を積むだけでなく、それを見やすい形でポートフォリオにまとめることもフリーランスのエンジニアが成功する秘訣。ポートフォリオとは、自分のした仕事や青果物を分かりやすくまとめたもののこと。いわばあなたを売り込む名刺となるものです。
ポートフォリオを見て、クライアントはあなたに仕事を任せるか否かを決定します。ポートフォリオは単なる実績のアピールだけではなく、実績を分かりやすくまとめて人に魅せるスキルも試されるもの。魅力的なポートフォリオが作れるよう、実績を積みスキルを磨きましょう。
営業活動をして仕事を取ってくる役も、仕事をこなして納品する役も全て自分でこなすのがフリーランスのエンジニア。ただ仕事ができるだけではなく、円滑なコミュニケーションが取れる対人スキルも必要です。
無理に気の利いた言葉を言う必要はありませんが、最低限のあいさつができて、愛想良く接することが出来るようにしておきましょう。
メールの書き方や電話の受け答えなど、最低限のビジネスマナーについて知っておくと安心。仕事はできるのに愛想が悪いせいでクライアントから好かれない…なんて損をしないようにしてください。
フリーランスで活躍するエンジニアは、長所と短所が表裏一体です。魅力的に感じる長所には、こんな短所が潜んでいることを覚えておきましょう。
会社のように対人関係に悩まされず妙なルールに縛られず、1人で自由気ままに仕事ができるのがフリーランスの魅力。自由度が高いのが魅力ですが裏返せば全て自分でこなす必要があり、全て自己責任という短所になります。
自分を甘やかしすぎれば納期に遅れ、自己管理が出来なければ仕事に不備が出ます。また、チェック役がいないので仕事のミスに自分で気づけないことも。ミスが発覚した場合は、誰を責めることもできません。完全なる自己責任で仕事を遂行するというプレッシャーがあります。
仕事を取ってくるのは自分自身ですから、仕事量を自分でセーブできます。したくない仕事を断るのも自由。ですが一度仕事を断れば二度と依頼されないというリスクもありますし、そもそも断るだけの依頼が来るかどうかも分かりません。
仕事量が安定することがないのがフリーランスのデメリットです。全く依頼の来ない月もあれば、依頼が連続しててんてこ舞いになる月も。会社員時代のように一定のペースで仕事をできないため、休日を取るタイミングがまちまちになることが挙げられます。
フリーランスの場合は、会社に縛られず、すべてが自己の責任のもと行動できます。自ら持っているスキルを活かして自由に働くことができるのが最大のメリット。メーカーからの転職を考えた際、選択肢の一つに挙がることもあるのではないでしょうか。
しかし、フリーランスの機械設計エンジニアの場合でも、成果を出せなければ稼ぐことができません。スキルの差別化や事業の効率化を図り信頼や実績を作ることも容易なことではありません。会社に属して働くよりも、自分で処理をしなくてはいけない雑務が多くなることも大きなデメリットになっているようです。
フリーランスに似た働き方として、派遣が挙げられます。派遣の機械設計エンジニアの場合、派遣会社に属することにはなりますが、働く場所やプロジェクトが多数用意されています。希望に沿った勤務地や仕事内容でマッチングをしてもらえることも。
福利厚生や待遇面が充実している派遣会社も多数ありますので、フリーランスで働くことに少し不安がある人は、一度派遣という働き方も視野に入れて考えてみるのがおすすめです。