生産技術エンジニアは技術の発展やトレンドから、現在転職しやすい環境にあります。強く求められるのは「IoT」に関する知識と技術。AIと並び、IoTを生産技術と結びつけられる能力が市場で必要とされています。製造ラインの設計に留まらず、さらに効率化と品質向上を目指す生産技術エンジニアが求められているのです。旭化成が2018年10月にIoT技術特化の組織を作ったように、求人でも需要が増していると考えてよいでしょう。
従来の生産技術エンジニアとしての仕事もまだまだ求められていますが、IoTなどは生産技術エンジニアの仕事と関連性がある設計エンジニアにおいても需要があります。生産技術エンジニアから設計エンジニアへ移ろうとする方も、身につけていて損はないスキルといえるでしょう。
生産技術エンジニアのキャリアアップを考えるなら、対応できる技術領域を広げていくのが効率的といえるでしょう。生産技術は、担当する工程や製品によって必要となるスキルや考え方が大きく異なっていくものです。
さまざまな分野で重宝される生産技術エンジニアになるには、スキルを高めてカバーできる範囲を広げる必要があります。1つの仕事を極めていくスペシャリストになる方法も素晴らしいのですが、技術の移り変わりや流行が早い現代では、技術の幅を広げてくように考えるとキャリアアップは手堅く行えるというのがポイントです。
キャリアアップを実現するポイントとして、まず4つのポイントを意識していくといいかもしれません。
カメラを使った見える化を行なうといった取り組みもあり、これまでとは違った形でのセンシングが必要になるケースも出てきています。製造ラインで起きているトラブルへの対策や自動化を進めていくには、現在のセンシング技術を理解していくことが大事です。
センサーのセッティングやプログラムを作り上げるだけでなく、映像解析技術を用いたセンシングなど、自動化や安全性の向上のためには今まで行わなかった取り組みをできるようにならなくてはなりません。映像解析コストを下げる為、エッジコグニション技術を使ってカメラ内でのリアルタイム映像解析をできるようにするなど道はさまざまです。
IoTやAIを活用する環境が整い、ビッグデータを解析する技術は必要になっていきます。IoTやAIが使われる機会が増えるということは、データが大量に蓄積される状態と同じです。取得された大量のデータを読み解き、問題点の傾向を上手に見極め、改善策を組み立てていくデータ解析の技術が必要になります。
英語と中国語は今後のエンジニアとして、より必要になっていくスキルです。海外への工場立ち上げという面でも大事ですが、最新の技術関係に関しては英語や中国語での資料を確認する機会も増えていきます。
中国は深センを中心に、さまざまな技術開発が進んでいます。ハードウェアにおいては、独自の発展や様式を持ち合わせている国です。アメリカなどの英語圏はシリコンバレーなど、AI開発に力を注いでいる会社も多い国といえます。言語は個人の趣向に合わせる形となりますが、持っていることは転職にもスキルアップにも必ず役立ちます。
また、海外工場の立ち上げはトラブルも起きやすく、現地でスピード感を持って解決策を示さなくてはいけません。生産エンジニアとしてのスムーズな業務とともに、コミュニケーションをとれることは必要になってくるというわけです。
技術職は制作物で語るという流儀を持っている方もいるかもしれませんが、提案力を持ち合わせるというのも今後においては重要な面になります。提案力とは、他の部署に対してへのフィードバックやコミュニケーションを含みます。
さまざまな技術の協力やコラボレーションが必要となる現在、黙々と言われた内容だけをやるという姿勢では、今後の開発において厳しくなってしまう面もでてくるでしょう。経験がマッチしたとして、軸となるには能力不足になってしまうのです。
生産技術エンジニアはキャリアアップがしやすい技術職でもあります。ユーザーニーズの多様化によって、多種少量生産や低コストサイクルの短縮化といった対応が求められているとか。
実現するには、生産技術能力の強化が必須。自動車業界を中心に生産技術エンジニアの経験や知識を必要とされています。
また、生産技術エンジニアは総合力が問われる仕事。生産技術やライン設備設計に携われば最新の技術を学ぶこともできますし納品や物流段階であればマーケティング戦略を知ることも可能です。
さらに、生産工程全体の統括経験があれば、海外を舞台に活躍もできます生産技術エンジニアからのキャリアアップは、あらゆる方向に広がっていると言えるえでしょう。
生産技術部の他に、自社の内製で設備開発を行なっている会社には工機部もよくあります。生産技術部との関係も深く、工機部で作られた設備を生産工場に送り、実際のライン稼働セッティングは生産技術部が行う流れになっています。
距離が近い分、工機部の担当者は生産技術部・製造部に対してその立場や内情理解しコミュニケーションをとる必要があります。立場や内情が理解できるということはスムーズなコミュニケーションにつながり、やはり大きな強みになるものです。
製造装置は複雑化しており、稼働させるには一苦労するようなものもあります。
つまり、顧客に納品して終わりではなく、設置から立ち上げまでをサポートする必要があります。これは顧客が自分の思い通りに操作できるようにしてあげることであり、その仕事をフィールドエンジニアが行うのです。
また、トラブルの際にも、フィールドエンジニアは頼りにされる存在です。トラブルは顧客の事業収益に影響を及ぼす場合も多く、常駐監視や保守・対応をすることもあります。
このように、仕組みから操作方法・保守までを対応していく中で、生産技術エンジニアの経験は非常に大きなものとなるでしょう。
生産技術エンジニアのキャリアアップや別の職種への転職についてではなく、別の職種から生産技術エンジニアへの転職を考えている方は下記を参考にしてください。
生産技術職への転職は、前職の職種や業種が異なっていても十分可能でしょう。
もちろん転職先で有利になる知識や経験・スキルがあることは大事ですが、生産技術に対する理解や知識がある程度備わってさえいれば、製品知識がなくても転職を引き受けてくれる企業は多くあります。
また、設計・開発・生産といった他の部門で働いていた人が生産技術職に転職は可能。生産技術職で行なう業務は、製品の生産効率を高めるために必要な試行錯誤といえます。
設計や生産の経験がある人材なら、生産技術職についた際に現場の視点から生産性を高める具体的な施策も出せる見込みが立つでしょう。製品開発と設備開発をどちらも行える人材を求める企業は多くあり、生産や開発からの転職は受け入れられやすい状況なのは間違いありません。設計・開発職をメインに経験を積んでいても、転職時に生産技術職としてやっていけます。
モノづくりの需要が高まっている今、有能な生産技術職へのニーズもかなり高まっています。一般的に40代・50代の転職が厳しいとされている現代であっても、生産技術職であれば転職も受け入れられやすくなっている傾向でしょう。需要そのものは高まっているため、年齢に関係なく、知識や経験・スキルのあるエンジニアは重宝されます。
エンジニアとして経験を積んだ40代・50代ともなれば、生産技術に関する知識や技術のポイントは掴みやすい要因にも。生産技術職には単なる生産ラインの設計や製造設備のメンテナンスの他にも、製造オペレーターへの負担の管理といった業務内容も求められます。
エンジニアではない異業種・異職種であったとしても、長年の知識と経験を積み重ねてきた人材であれば、生産技術職として転職してキャリアアップを望むことも夢ではありません。
実際に生産技術職へ転職する場合は、どんなスキルや資格、経験が評価されるのかをチェックしていきましょう。
前職で生産技術の知識や経験を培ってきた人材であれば、転職先でも非常に重宝されます。未経験の人材よりも、多少なりとも知識や経験の備わった人材が戦力となるのは間違いありません。自動車のメーカーから半導体のメーカーと別業界へ転職をする場合でも、生産技術の知識・経験が備わっていれば十分即戦力として活躍できます。
生産技術の知識や経験はない場合でも、それに近い品質管理や製造・開発業務に携わっていた人も同様に即戦力として見なされます。要は生産技術において大切なことを理解していれば、転職に有利でしょう。エンジニアリングの力も必要とはされますが、知識が充実しているのであればハンデをカバーできることもメリットになります。
生産技術職の未経験者であっても、生産技術職への転職は可能です。教育に力を入れている企業も現在多くありますから、未経験でも臆することなく生産技術職を目指せるでしょう。
ただし未経験である場合は、生産技術職に役立つ次の資格を取得しておくと有利になります。
CADは設計や製図に役立つ資格で、情報処理技術者はコンピュータなどに関わる知識を問う資格。機械保全は製造にかかわる機械関連の開発・設計に関連します。どれも未経験から取得できる資格ですから、生産技術職への転職前に取得を考えてみましょう。
CADに使用するツールも多種多様にあるため、どういったツールが現在主流かは確認しておいた方が無駄なくスキル取得に励めます。
エンジニアを募集する派遣会社であれば、未経験者からでも生産技術エンジニアへ転職できるようにさまざまなトレーニングやセミナー、勉強会などを開催。知識や経験がゼロの状態での転職ではなく、ある程度技術の下地をつける目的で派遣会社を活用するのは良い方法です。
エンジニア経験があっても、新たに知識を増やすためや復習を兼ねてなら派遣会社の研修を受けるのも効率的といえます。人材を必要とする企業からのやり取りで、現在トレンドになっている技術や必要な技術が明確になっているので無駄もありません。
スキルを身につけてキャリアアップを考えている場合は、派遣会社でキャリアプランの設計も相談できます。派遣会社によって受けられるサービスは異なりますので、研修が充実している環境やキャリア相談が行えるなど求めているものに合わせて派遣会社は選ぶべきです。また、技術を身につけるだけでなく、働き場所も同時に見つかるのもメリット。派遣先企業とやりとりをし、スキルや経験に合わせてマッチングを行なってくれるエンジニア派遣会社もあります。
派遣の働き方はメリットもデメリットもありますが、派遣であっても常用型派遣であれば、雇用の不安定さというデメリットはある程度解消されるでしょう。働く場所も転々とするのではなく、長期的なプロジェクトやメーカー開発など集中してひとつの業務に取り組める環境で働ける点がメリット。自分のスキルをどこまでも高めて、エンジニアとして立ち位置を確立させたいと考えるのであれば派遣エンジニアという働き方もおすすめです。
生産技術職を経験すると、キャリアや将来設計への可能性が広がります。多くの企業に生産技術部門は設置されているため、派遣として働いたあとに転職というプランを考えても良いでしょう。スキルが身についているからこそキャリアアップを狙えて、経験を積んでひとつの企業内で昇進できます。
生産技術職で得た知識はコンサルタント業務などでも役立つもので。海外でも需要の高い生産技術職での経験は、キャリアアップを望む人たちにおすすめできるものといえるでしょう。